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平成27年 初 釜

平成27年1月10日(土曜日)恒例の初釜を実施しました。

朝晩の厳しい冷え込みが続く頃ですが 陽光のおかげで日中はポカポカ陽気になり

昼頃に は暖房 を止め る程でした。

定刻の11時 寄付(北辰軒玄関)で到着順に香煎を飲んでいただき署名後本席へ

お席入りしていただきました。


昨年から本席にて新年の挨拶を交わした後 私の炭点前で初釜が始まります。

今年は利休袋棚を使用していたので 炭斗を持ち出した後 けんどんの中に

格納されている灰器を取り出す趣向にしてみました。
富士の形をした 道爺造の八角釜。胴の部分には八景地紋が鋳込まれております。

炉縁は一郎兵衛作の菊置き上げ。古い物ですが 比較的状態も良くゴフンが

綺麗に残っており お正月らしく華やかさを演出出来ます。
香合は全国大会神奈川大会(平成23年)の折 家元が好まれた少庵
好の白

粉解香合。前畑雅峯造で胴と蓋に菊が蒔絵されています。
香合拝見は時間の都合で 後座の席入時に床へ飾る旨を伝え 一度散
会して正

午に点心席にて再集合。
皆さんの手をお借りして 点心席の準備を行います。

準備も順調に進んだので 点心開始に先立ち 今年の行事予定を報告。
そして一同の一層の精進と健康を祈念して乾杯です。

点心席では毎年 狩野探令筆の松竹梅鶴亀の図を懸けております。

大きな軸で この席の床に映えます。
前には丸三宝に熨斗飾り。熨斗押さえは上田耕甫が打ちでの小槌に
蓬莱山

を描いたおめでたい物です。


柳釘には根の処理をした青竹の一重切に結び柳と紅白の椿を入れてあります。
さらに脇床には青竹を切った物に松や千両・水仙などを入れて飾りつけました。

約一時間 社中一同が懇親をはかりながら会食。恒例のとらや製 若菜餅が出て 中立。

13:30銅鑼の音を合図に後座の席入りとなりました。
寒さ対策の為 中立の際に蹲踞にて手と口を清めて 寄付にて銅鑼を
待って

いる事を伝えていたせいもあり 20名近くにも関わらず お席入は10分

少々で完了。
いよいよ濃茶です。

床は新春らしく愈好斎筆 一行 「神光遍天地」。御神威(御光)は津々浦々

遍く行き届いていると言う意味でしょう。
裏表無く 明るく清潔に今年も過ごしたいと願いを込めて。
花は賀茂本阿弥椿と藪椿・蝋梅を入れました。
花入は青竹の尺八花入。今年も書院には梅月蒔絵の硯箱、床脇には
各種箱

書きを飾りました。

利休袋棚には桶側の水指と考煙造の薄茶器 不徹斎好 春の野中棗を載

天板には三島の小壺に絞りの椿を一枝入れました。

茶入は瀬戸ねじ抜き 銘波枕。毎年恒例の道具ですが 肩の所に波線があり

胴の中央辺りが凹んでいるところからの命名かと思われますが釜の富士と

茶入の銘は初夢にかけて使用しております。
茶碗は 一入造で直斎が箱に黒大茶碗としたためられた 大振りな茶碗。
茶杓は好々斎作 銘 岩戸。万物への恵みを与える太陽をイメージして
おります。
蓋置きは鈴木表朔と大森金重の合作で 突羽根の蓋置。

毎年少しづつお道具も内容を変えて使用していますが 変わらぬお道具との

出会いに 今年も無事に初釜を迎えられた喜びを感じております。

今年は全部で4碗を練り上げ 最後は私も皆さんとお相伴し 濃茶が終了。

その後は社中を2グループに分けて 薄茶です。
水屋グループとお客様の2グループになっていただき 交互にすることにより

ゆったりと また 次ぎに控えるお楽しみの懇親会準備にも着手出来る為 近年この方法を採用しております。
幸い皆さん慣れて下さり 順調に進行し15時頃には薄茶も終了。
席中の片付けと懇親会準備を皆さんのお力を借りて行い 今年は定刻の16:00よりも15分程早くに準備完了しました。

今年も大いに盛り上がり 終了しました

初釜  会記


平成27年 正月12日
寄付 (北辰軒玄関床)


床   愈好斎賛・服部春陽画
    深山には 松のゆきだに 消えなくに
      都と野辺の 若菜つみけり
 煙草盆  桑手付
 煙 管  如心斎好 火入 織部 和子造
 煙草入  桑糸目 愈好斎箱 木屑造
卓   干支扇子

点心席(直会殿)
床   狩野探令筆 松竹梅鶴亀の図
          丸三方に熨斗飾り
     青竹花入に結び柳・賀茂本阿弥・藪を入れて
 脇    青竹花入に松、水仙、白梅、千両

上の間席
床 上田耕甫筆 旭日高砂図

本 席(北辰軒)
床   愈好斎筆 一行 神光遍天地
香合  少庵好白粉解 不徹斎在判 共箱 雅峯造
 書院 梅月紋硯
脇 毛氈に箱書き各種
花入   青竹尺八
 花   賀茂本阿弥 藪 蝋梅
釜   八角富士釜 八景地紋有 道爺造
水指  桶側
 先   不徹斎好 起風
 棚   利休袋棚
 縁   菊置き上 市朗兵衛造
茶入  瀬戸ねじ抜き 銘波枕
 袋   一重蔓牡丹唐草
茶碗  一入黒 直斎銘 大茶碗
 替   御本半使 不徹斎箱 銘八重垣
 替   光悦紙屋写   九代 長左衛門造
 替   光悦時雨写   九代 長左衛門造
茶杓  好々斎作 銘 岩戸 共筒共箱
 蓋置   愈好斎好 突羽根 共箱 表朔・金長合作
 建水   木地曲
御茶  巌の昔      柳桜園茶舗詰
菓子  若菜餅      とらや製
 器   縁高重         萬象造
茶器  不徹斎好 春の野中棗    考煙造
 替   真塗中棗 一指斎筆和歌
           一輪の 春とや思う 宝の梅
茶碗  赤  真伯手造  梅の絵有り
 替   祥瑞           真葛造
 替   日の出        小峠丹山造
茶杓  不徹斎作 銘 常若 共筒
菓子  萩の菓          光圀本店
    初夢 マルコシ製菓製
器 亀甲真塗内金泊張
一啜斎好松葉盆 愈好斎箱 漆仙造

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