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​鶴岡八幡宮献茶式 呈茶席

​令和4年6月25日(土)斎行

コロナ罹患者数が大分少なくなった令和4年6月25日 鶴岡八幡宮にて家元不徹際宗守ご奉仕による 献茶式が開催されました。

洒心亭にて2度目となる呈茶席を担当しました。前回は平成20年でしたので約14年振りでの掛け釜でした。当日は最高気温が32度を超える猛暑でした。

気温がまだ高くない早朝8時前には現地に到着し準備を開始。第一席目は予定通り9時10分開始。御家元は9時40分頃到着されて2席目に入られる計画なので、久々の茶会での亭主を緊張感いっぱいの内に終えました。

定刻より少々早めにお越しになられた御家元をご案内し第2席目を開始。

大過なく亭主役を勤め ホッと。

第3席目を終える頃 献茶式参進の時刻を迎え 社務所前へ向かいました。

参道は土曜日という事もあって 大勢の人出。宮司以下祭員と家元、席主・神奈川官休会会長と本殿へ向かって参進開始。警備員や神職が参進の妨げとならない様 境内の往来を一時封鎖していました。衆人環視の中 気恥ずかしい思いで本殿へ到着。気温が上昇する中にもかかわらず、一際 高台に位置する本殿には心地よい風が吹き込んで来ました。

約1時間の式典終了後 再び一時封鎖の参道を社務所に向かって参進。

一同総礼の後 解散をし 再び茶席へ戻り 午後の全5席を勤めて 約三年ぶりの亭主を終えました。

​会   記
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寄付は時候という事から有隣斎のかきつばた画賛の色紙。寄付は茶会のイントルデュース。どの様な展開になるのか。 

本席の床には川合玉堂筆 瀑布の図。

​暑い時期なので 涼を感じていただきたく 使用しました。京急富岡駅(横浜市金沢区)には生前の住まいだった玉堂邸がありますが、近年の火災により消失し 目下が玉堂邸跡として史跡になっています。私が金沢区在住な事や今年は「鎌倉殿の13人」で鎌倉が話題となっている事も有り「瀑布」と「幕府」を掛けた事を説明すると なんと!拍手までいただきました。

 

​書院には国宝の写しの「船橋蒔絵硯箱」を飾りました。

花入は二代目 真葛香山造の伊賀水盤を使用。蛙が縁に付いています。当日は利休草の陰から姿が見えます。

​花はガンピ、桔梗、虎の尾、河原撫子、下野、半化粧、利休草。

香合は直斎在判の竹香合。上には蟹の蒔絵が数多く描かれております。

釜は家元好の嶺雲釜。山と雲が正面じ鋳込まれており 斎号出典による好み物。

風炉は朝鮮風炉で 風炉・釜で好まれた物。

風炉先は先代の小兵衛造の愈好斎好の水透かし。

水指はガラス。ラスター彩と言うそうですが 光沢が美しく見る人の角度で色々な色に変化します。

棚は真塗の長板。黒の長板に水指がとても綺麗に映えました。

茶器は江戸時代後期頃の作と聞いている菖蒲蒔絵の中棗。

茶碗は了入造の馬盥形の赤茶碗。好々斎が銘を大海と極めております。見込みはツルツルでかなり お茶を飲んでいる事が分かります。

替の茶碗は三井泰山旧蔵の刷毛目茶碗。中箱には遠州流の小堀宗明が内箱の塗箱「天の川」と言う字形を小堀権十郎蓬雪の筆跡と極めており、刷毛目の景色が新古今集 藤原長能の古歌「袖ひちて 我が手に結ぶ水の面に 天つ星合の空をみるかな」を連想させると小堀宗慶が三重箱に記しています。 

​三碗目は永楽妙全造の勅題茶碗。大正15年の勅題「河水清」にちなみ 川と紙垂(しで)が描かれており この季節 水無月祓いの意味を込めて使いました。


              寄 付                           

床    有隣斎筆 色紙 かきつばた画賛
        
            本  席
床        川合玉堂筆 瀑布
  書院   舟橋蒔絵硯箱写
       東路の佐野の舟橋かけてのみ 思わたるを 知る人そなき
花入      伊賀水盤蛙付                 真葛香山造
 花       季の物
香合    直斎好 竹蟹蒔絵  在判          三代宗哲造

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釜        不徹斎好 嶺雲釜               圭成造 

 風炉     不徹斎好 唐銅朝鮮風炉 剣菱透       圭成造 

 先    愈好斎好 水透               小兵衛造

水指    ガラス

 棚    長板

茶器      時代 菖蒲蒔絵

茶碗      赤 平 銘 大海 好々斎在判・箱 外箱 不徹斎 了入造

 替    刷毛目 銘 天之川  三井泰山旧蔵

茶杓     好々斎作 銘 五月雨 共筒共箱 外箱 有隣斎

 蓋置   金溜糸巻             九代長左右衛門造

 建水     官休庵型餌畚    愈好斎箱          木屑造

菓子       水無月                    名月製

 器       愈好斎好 膳所焼 若松絵喰籠

 莨盆   以心斎好独楽透   不徹斎箱        小兵衛造

 火入    織部

 煙草入   蒟醤 煙管   一指斎好 吉祥草彫    五郎三郎造

 香箸   椎頭                   宗三郎造

茶杓は好々斎作 銘五月雨。今年の梅雨明けは早く 当日は厳しい暑さでしたが、旧暦皐月に因んで使用。

蓋置は大樋作の糸巻き。もうすぐ七夕という事に因みました。金彩が施してあり水指が光線の加減で 銀色に見えて長板上に金銀の取り合わせが広間向きに華やかに写りました。

​建水は官休庵伝来型の餌畚を三好也二(木屑)が移した物。木地だからとても軽いです。

​菓子は地元の名月製の水無月。器は愈好斎好で膳所焼。

​金彩で若松が描かれた 華やかな喰籠です。

コロナ禍により 茶会が開催出来ず 約3年振りでの懸け釜でした。

席への誘導や運びなど 失態が数多く見られ ご参会の方にはこの場を借りてお詫び申し上げます。

​今後とも これを糧に一同で成長して行きたいと思っておりますので 何卒お許しいただきたくお願い申し上げます。

​点前座の写真をうっかり取り忘れた事も 残念です。

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