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​春日大社献茶 副席

平成28年5月10日 今年の献茶式は式年造替の年という事で濃茶の副席を担当させていただきました。

9日は午後2時に席となる桂昌殿にて社中と集合。雨の中カッパを着ての搬入となりました。人数がいた為 準備は着々と進み4時過ぎには終了し退出。
18:30から市内の料理屋さんにて一同で無事の開催を祈念しての前夜祭を行いました。

20名を越す方々にご参加いただき 大いに盛り上がり気がついたら22:30。
一同散会して明日に備えました。

献茶式当日は8:30には現地着。
雨も止みしっとり濡れた新緑がとても綺麗でした。

 

9時朝礼を開催し集合写真を撮り 9:30頃より第一席目を開始。
早々に集まられたお客様で定員35名のお席は半分強が埋まりました。
献茶式は11時からなので式の前に2回の席を実施しました。
献茶式では席主代表として玉串奉奠をさせていただき 節目の年だけに感慨深く参列させていただきました。
式の最中 造替により新しくなった檜皮葺きの屋根から水蒸気が立ち上がり 薄曇りだった空も陽光が差し込み御祭神さまもお慶びかと思った矢先 神の使いの鹿まで登場し なんとも神々しく感じられた献茶式でした。

さて 茶席の方は式が終了した午後の部では全4席を行いました。
道具組としては 初夏の神事という事もあり 「五穀豊穣・豊年満作を祈念する」と言う事をテーマとしました。
寄付では花山院宮司のご先祖愛徳(よしのり)氏が賛を書き 絵は流儀とのつながりもある岸岱が田植えを描いた物を使用。


本席床は真伯筆の「祖意百草頭」。

祖先の意は八百万の神となり あまたの物に宿っていると言う説明をさせていただき 今回のテーマに添ったつもりです。
嶺男造の窯変米色瓷砧(ようへんべいしょくじきぬた)に花は白い牡丹。
香合は直斎好の名取河写しで 一啜斎在判の物。埋もれ木に名取河の蒔絵は同じ様に描かれていますが 本歌は錫縁ですが こちらは堅木にて造られた物。

釜は江戸大西家初代浄林造の肩に四方の段がついた霰地紋の撫で肩釜。
風炉は今戸焼きの白井半七が作り表千家惺斎が箱極めをした道安形の土風炉。流儀では土風炉の際には 濡らした灰をすり鉢で擦り伸ばした縮緬状の灰を蒔きます。手間のかかりますが景色はとても美しく 参会の方々にとても喜ばれました。
土風炉に釣瓶の水指という侘びを意識した取り合わせにしたので 一啜斎好の梅棚を使用しました。解体出来ると言っても 自家用車での運搬な為  場所を占拠して大変でした。
茶入は時期に因んで 小堀宗慶氏が拾遺和歌集所載で読み人らずの歌より「卯の花」と命名したもの。
茶碗はノンコウ造赤茶碗で直斎が銘を「村雨」とした茶碗。高台内に楽印が押されており 篦が大胆に使われた茶碗です。雨は田植えの時期なので 是非にも必要と取り合わせましたが なんと搬入・搬出で遭遇してしまいました。
茶杓は一翁作銘「さび」。土風炉・釣瓶・台目棚と来ているので丁度いいと・・。
菓子の「早苗」は鶴屋八幡さんが数回の試作に応じて下さり決めた物。新緑に注いだ雨で眩しい程の外の景色に因んだかのごとき緑の練り切りでした。

最後になりましたが お席へお入り下さった方々よりご意見がございましたら メールを頂戴出来ましたら幸いです。精進の糧とさせていただきます。

於 桂  昌  殿


寄 付
床   花山院愛徳賛 岸岱画 田植え画賛
          いく千町とるて あまたの わかなへに
                 年あるあきを いまよりぞしる

       本 席 
床     真伯筆一行 祖意百草頭  不徹斎箱
花入   窯変米色瓷砧                      嶺男造
 花   牡丹
香合  直斎好名取河埋木香合写  一啜斎在判共箱     木村正五郎造
釜   四方段霰撫肩釜                   大西浄林造
 風炉  土 今戸焼 道安形                    
 板   荒目板
水指   木地釣瓶                        利斎造
 棚   一啜斎好梅棚                    小兵衛造
茶入  織部   銘卯の花    小堀宗慶箱
                  卯の花の 咲ける垣根は みちのくの
                            まがきの嶋の 波かとぞ見る
 服   間道
茶碗   赤    銘 村雨     直斎箱           道入造
 副   御本  銘 八重垣    不徹斎箱
 副   古萩  銘 腰蓑     一指斎箱
茶杓  一翁作 銘 サビ 共筒 内箱 直斎 外箱 愈好斎
 蓋置  竹 一啜斎在判 共箱 炉風炉一双の内
 建水   餌畚 官休庵形    愈好斎箱            木屑造
御茶  不徹斎好 起風の昔                  福寿園詰
菓子  早苗                        鶴屋八幡製
 器     愈好斎好 独楽透縁高    共箱           一閑造

                                                                              以上

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